単元解説

IPv4静的ルートとデフォルトルート

ルーティングCCNA

管理者が手動で経路を登録するIPv4静的ルートと、未知の宛先へ送るデフォルトルートの基本を学びます。

図版:Net Basics Labタップして拡大
IPv4静的ルートとデフォルトルートの要点を図解しています。

この単元で学ぶこと

ルーティングテーブルには、直結ルート、動的ルーティングプロトコルで学習したルート、管理者が手動で登録する静的ルートなどが登録されます。この単元では、IPv4静的ルートの役割と、どの詳細な経路にも一致しないときに使うデフォルトルートを学びます。

前の単元で学んだ最長一致の考え方と合わせると、静的ルートがどの宛先に使われるかを判断できるようになります。

静的ルートとは

静的ルートは、管理者が宛先ネットワークと転送先を明示的に設定する経路です。小規模なネットワーク、支店回線、スタブネットワーク、バックアップ経路などで利用されます。

動的ルーティングプロトコルのように隣接機器と経路情報を自動交換しないため、設定がシンプルで意図した経路を固定できます。一方で、ネットワーク構成の変更時には管理者が設定を見直す必要があります。

静的ルートに指定する情報

静的ルートでは、宛先ネットワークとサブネットマスクを指定し、転送先としてネクストホップ、送信インターフェース、またはその両方を指定します。

ip route 192.168.20.0 255.255.255.0 10.0.12.2

この例では、192.168.20.0/24宛てのパケットを、ネクストホップ10.0.12.2へ送ります。ネクストホップは、直接接続されたネットワーク上に到達できる必要があります。

ネットワークルートとホストルート

ネットワークルートは、あるネットワーク全体への経路です。たとえば192.168.20.0/24は、その範囲にあるホストへ向かう経路です。

ホストルートは、特定の1つのIPアドレスだけに一致する経路です。IPv4ではプレフィックス長/32を使います。ホストルートは非常に具体的な経路なので、同じ宛先IPアドレスに一致するより広いネットワークルートよりも最長一致で優先されます。

デフォルトルート

デフォルトルートは、より具体的な宛先ルートが見つからないときに使う経路です。IPv4では0.0.0.0/0で表します。/0はすべてのIPv4アドレスに一致しますが、/8、/16、/24、/32などのより具体的な経路があればそちらが優先されます。

ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 10.0.12.2

この設定は、詳細な経路がないパケットを10.0.12.2へ送る例です。インターネットや上位ネットワークへ出る出口を1つに集約する場面でよく使われます。

ネクストホップ指定と送信インターフェース指定

ネクストホップ指定では、次に渡すルータやL3スイッチのIPアドレスを指定します。機器はネクストホップへ到達するための経路も確認する必要があり、この確認を再帰的ルックアップと呼びます。

送信インターフェース指定では、パケットを送り出すインターフェースを指定します。ポイントツーポイント回線では使いやすい指定方法です。イーサネットのようなマルチアクセスネットワークでは、送信先を明確にするためネクストホップも併せて指定する完全指定静的ルートを使うことがあります。

フローティング静的ルート

フローティング静的ルートは、通常使う経路のバックアップとして設定する静的ルートです。Cisco IOSでは静的ルートのアドミニストレーティブディスタンスは通常1です。バックアップ用には、主経路より大きい値を設定して優先度を下げます。

ip route 192.168.20.0 255.255.255.0 10.0.13.2 200

主経路がルーティングテーブルから消えたときだけ、アドミニストレーティブディスタンス200のバックアップ経路が選ばれるようにできます。

Null0を使う静的ルート

Null0は、受信したパケットを破棄する論理インターフェースです。集約した経路を示すときなどに、意図しない詳細経路がない宛先パケットを破棄するため、Null0向けの静的ルートを使うことがあります。

Null0への静的ルートは通信を別の機器へ転送するものではありません。どの範囲のパケットを破棄する設定なのかを、プレフィックス長と合わせて慎重に確認します。

確認とトラブルシュートの視点

静的ルートで通信できないときは、宛先ネットワークとサブネットマスクが正しいか、ネクストホップへ到達できるか、送信インターフェースがupしているか、より具体的な想定外の経路がないかを確認します。

デフォルトルートは詳細な経路がないときだけ使われます。最長一致のルールを意識すると、なぜデフォルトルートではなく別の経路が選ばれたのかを確認できます。

まず覚えたいポイント

静的ルートは管理者が手動で設定する経路です。ネットワークルートはネットワーク全体、ホストルートは1台だけを対象にします。デフォルトルートは0.0.0.0/0で表し、より具体的な経路がないときに使われます。フローティング静的ルートは、アドミニストレーティブディスタンスを大きくしてバックアップ経路として使います。

関連用語