単元解説
VLAN間ルーティング
L3CCNA異なるVLAN同士を通信させるための仕組みと、ルータオンアスティックやL3スイッチのSVIを使う代表的な方法を学びます。
この単元で学ぶこと
VLANはブロードキャストドメインを分ける仕組みです。そのため、VLAN 10とVLAN 20のように異なるVLANへ所属する端末同士は、L2スイッチだけでは直接通信できません。異なるVLAN間で通信するためには、宛先IPアドレスを見て転送先を決めるL3の機能が必要です。これをVLAN間ルーティングと呼びます。
VLANごとにデフォルトゲートウェイが必要
端末が別のVLANにある宛先へパケットを送るとき、端末は自分のVLANにあるデフォルトゲートウェイへ送ります。たとえばVLAN 10のPCにはVLAN 10用のゲートウェイIPアドレス、VLAN 20のPCにはVLAN 20用のゲートウェイIPアドレスを設定します。
ゲートウェイとなるL3機器は、受信したパケットの宛先IPアドレスを確認し、宛先VLANへ転送します。このとき、送信元VLANと宛先VLANは論理的に分離されたままで、必要な通信だけがルーティングされます。
方法1:ルータオンアスティック
ルータオンアスティックは、1台のルータの物理インターフェースをスイッチへトランク接続し、その物理インターフェースに複数のサブインターフェースを作る方式です。サブインターフェースごとにVLAN IDとIPアドレスを設定し、各VLANのデフォルトゲートウェイとして使います。
たとえばVLAN 10用のサブインターフェースにはVLAN 10を示す802.1Q設定とゲートウェイIPアドレスを、VLAN 20用にはVLAN 20用の設定とIPアドレスを持たせます。スイッチとルータの間のポートは、複数VLANを運べるトランクにする必要があります。
方法2:L3スイッチのSVI
L3スイッチでは、SVI(Switched Virtual Interface)を使ってVLANごとに仮想的なL3インターフェースを作れます。たとえばinterface VLAN 10とinterface VLAN 20へそれぞれIPアドレスを設定すると、それらのIPアドレスを各VLANのデフォルトゲートウェイとして利用できます。
L3スイッチでVLAN間ルーティングを行うには、IPルーティング機能を有効にします。ルータを別途用意せずにスイッチ内部でVLAN間通信を処理できるため、企業ネットワークのアクセス層やディストリビューション層でよく使われます。
ルータオンアスティックとL3スイッチの違い
ルータオンアスティックは、少ない機器でVLAN間ルーティングを構成しやすく、仕組みを理解する学習にも向いています。ただし、複数VLANの通信がルータへ向かう1本の物理リンクを通るため、通信量が多い環境ではボトルネックになりやすくなります。
L3スイッチのSVI方式は、VLAN間の通信をスイッチ内部で高速に処理できます。VLAN数や通信量が多い環境では、L3スイッチを使う方式が選ばれやすくなります。
通信できないときの確認ポイント
VLAN間で通信できない場合は、端末が正しいVLANに接続されているか、スイッチ間やスイッチ・ルータ間のトランクで必要なVLANが通っているか、各VLANのゲートウェイIPアドレスが正しいかを確認します。ルータオンアスティックではサブインターフェースのVLAN IDとIPアドレス、L3スイッチではSVIの状態とIPルーティング機能も確認対象です。
まず覚えたいポイント
異なるVLAN間の通信にはL3のルーティングが必要です。代表的な方式は、トランクとサブインターフェースを使うルータオンアスティックと、VLANごとのSVIを使うL3スイッチです。各VLANの端末には、そのVLAN用のデフォルトゲートウェイを設定します。
関連用語
VLAN間ルーティング
VLANごとに分かれたネットワークの間で、L3機器がIPパケットを転送する仕組みです。
用語を見る →
SVI
VLANにIPアドレスを割り当て、L3スイッチ上でそのVLANのデフォルトゲートウェイとして使う仮想インターフェースです。
用語を見る →
ルータオンアスティック
ルータの1本の物理インターフェースに複数のサブインターフェースを作り、トランク経由でVLAN間ルーティングを行う方式です。
用語を見る →
サブインターフェース
1つの物理インターフェースを論理的に分けて扱うインターフェースです。ルータオンアスティックではVLANごとに作成します。
用語を見る →
L3スイッチ
L2スイッチの機能に加え、IPアドレスをもとにルーティングできる機能を持つスイッチです。
用語を見る →